イワシ式

個人的なマンガの感想を細々と書くブログ

アラサーは悶々としてます!(「mon*mon」感想)

さわやかな少年向けファンタジーの「リンドバーグ」を取り上げた次がこれでいいのか、とも思うが某女性誌を思わせるタイトルの「mon*mon」。(シモダアサミ、マンガ・エロティクス・エフvol74, 76-82にて連載(2012年3月から2013年7月まで)、全1巻)。

mon*mon (Fx COMICS)

mon*mon (Fx COMICS)



青い花」を早く読みたくてエロエフを買うようになったけど、読んでみると「青い花」以外も結構面白い。誌名の通りのエロい表現もあるけれど、18禁ではないので意外にそれがメインというわけでもない。テーマによっては性的な表現を避けることができないものもあるし、かといって成人向け雑誌になってしまってはそれが中心にならざるを得ないし、エロエフはそういった縛りから解放されて真に自由な表現を追求している漫画雑誌ではないかと思う。(わからんけど、大人の女性向けの漫画もこんな感じなのか?)描きたいものを描く。どんな層がターゲットでどれぐらい売れてるのか謎だけど。作家の特集やインタビューはどれも深い。vol82に載っていた「青い花」最終回時のロングインタビューは必見。

さて、前置きが長くなったけど、この「mon*mon」もエロエフで連載されていた漫画。性欲を抑えられないOLや夫婦のセックスレスに悩む男性教師など、既婚、未婚様々に、オムニバス形式でアラサー男女の悶々とした日々を描いている。
紹介文だと『新人離れした手練感を漂わせる、シモダアサミのデビュー単行本!』なんて出てます。
いや、本当にそう思う。
第一話「佐野さんの欲望」では、いきなりアラサーOLである佐野さんのオナニーシーンから始まったりと遠慮はない。かといって直接的にエロいというわけではなく、そういう表現を通してアラサーの本音を赤裸々に描いていく。飄々とした顔でズバズバ内角にストレートを投げ込んでくる感じ。絵もスッキリしてて読みやすい。本当に新人か?って思う。上手い。

自分もアラサーだが、これは完全ストライク。で、作者は現在、月刊アクションにて「中学性日記」という中学生の性にまつわる話を連載しているが、なんか似てるなぁ~って思った。(中学性日記はニコニコ静画でもちょっと読める)
何がっていうと、ココロとカラダが一致しない感覚がアラサーと中学生って似てるんじゃないかと思った。
中学生のときはココロも大人になる前の反抗期だし、変化するカラダも受け入れられなくて、両方が全然かみ合わず、どうしたらいいかわからないって感じ。
でも高校生ぐらいになると、色々と悩みはすれど自分のカラダ、性は受け入れられる。大学生ならうぇ~いって感じだし。社会人になっても20代前半のうちは、大変ではあるけど頑張れば仕事も恋愛も理想に近づけるんじゃないかって思える。

でも、アラサーになると何か違う。周りを見ると、結婚している人もいれば、未婚の人もいるし、仕事でも転職する人も結構でてくる。いまさら恋愛とか言ってる場合か?じゃあこいつと結婚するのか?そりゃ、欲求不満にもなるし、子供がほしいなら早くしないと…。自分、どうすりゃいいんだ?相手も何考えてんのかよくわからんし…、って。
カラダ(現実)とココロ(理想)の道が分かれて一致しない(ように思える)。仕事もある程度経験をしてできることが増えていく、男女の関係でも色々な選択肢が現実的に見えてくる。そうすると、他の可能性を横目に、「何か間違ったか?」と。
まさに悶々とする日々。

上手く幸せになっている人もいるけど、自分はまさに悶々組だな~。
これがアラフォーぐらいになると受け入れられるようになるんだろうか?

また紹介文そのままだが、『悶々しながら幸せへの一歩を踏み出す人たちを描く、元気が出るオムニバス・シリーズ!!』とある。結局は迷いながらも、勇気を出してココロとカラダを近づける一歩が大事なんだろうなと。
アラサーの人が読むとめちゃくちゃ共感できると思う。

1冊1,000円はちょっと高いかな?と思うけど、Kindle版は500円だったりする。

mon*mon

mon*mon


このマンガ好きな人は↓もおススメ。
心ふるわす彼女のパーツ(「彼女のカーブ」感想)

単行本未収録なので、もうずっと読めないかも知れない番外編が載ってるvol83。

また、vol78に載っていた「かよちゃんの探求」は中学生の話なので、アラサー中心にまとめた単行本には未収録。これも幻か?

==追記==

現在は、この2つの番外編はここだけ学生編として電子書籍で販売されてます。
150円なのでおススメ。こういうのチョーうれしい!

mon*mon 学生編 (太田MANGA SINGLES)

mon*mon 学生編 (太田MANGA SINGLES)

編集部ブログを見ると、「良太君のABC」がエフ81号収録って書いてあるけど、83号の間違いだと思う。。何故…?
http://www.ohtabooks.com/eroticsf/blog/2014/06/11185128.shtml

==もうひとつ追記==

エロエフ休刊にあたっての感想記事書きました。
ディープピープル(「マンガ・エロティクス・エフ」感想)