風が語りかけます(「子供はわかってあげない」感想)
個人的に今年もっとも爽やかだった一作。「子供はわかってあげない」(田島列島、モーニングにて2014年3月から8月まで連載。全2巻)
モーニングで連載追ってた時も、そのページだけ風がサァッと吹き抜ける感じで明らかに空気が違った。
- 作者: 田島列島
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/09/22
- メディア: Kindle版
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書道男の門司(もじ)君と競泳女の朔田(さくた)さんの一夏のボーイミーツガール的なストーリー。
門司君が学校の屋上で「魔法左官少女バッファローKOTEKO」の絵を描いているところを、たまたまプールから見つけた朔田さん。
「KOTEKO好きなのか?」
「ああ かなり」
そこから、朔田さんの実の父親を探すことになって、探偵で女になった門司君のお兄さんが出てきたり、教祖様から超能力を教わったり、死体ごっこしたり、いかりや長介が出てきたり、いろいろあって2人は自分の気持ちに気付くという感じの話。
はっきり言って漫画としてレベルが高い。面白い。
短めの長編となっているが、全2巻20話ということで、話がすごくまとまってる。
伏線の回収の仕方とか、迷走せず、最初から最後まで話がストレートに通ってて読みやすい。
絵もスッキリしてて自分好みだ。
登場人物もみんな魅力的。
毎回言ってるけど、短編だと変に話をかき回す人が出てこなくていい。
中性的だけど、実は乙女な朔田さんは最近の中では個人的No.1ヒロイン。
草食系だけど、はっきりモノ言う門司君もカッコいい。
宮島さんもいい味出してるなーと。
そしてさりげなく出てくる「なんだこれくしょん」。
で、話自体も面白いけど、全体的にセリフのセンスが秀逸。
中でも度々出てくるセリフ。
『人は教わったことなら教えられるんだよ』
(上巻、99ページ)
そーだよなぁ。
自分でモゾモゾ編み出したものを他人に教えるのは難しい。
『世界に必要なのは「自分にしかない力」じゃない
「誰かから渡されたバトンを次の誰かに渡すこと」だけだ』
(下巻、104ページ)
いいセリフだ。。
教わったこと、もらったもの、バトンを次へ次へとつないでいく。
でも一方で、自分の気持ちというのは、他人の言葉では伝えられないんだろうなと。
自分の中にあるものを振り絞って、不恰好かもしれないけど、言葉に出す。
どっかで拾ってきた言葉を並べるだけじゃつまらんよなーっと。
自分の学生時代とは似ても似つかないけど、全てが自分のストライクゾーンに入ってきた。
今年最高の青春ストーリー。
オススメです。
ちなみに、第一話はネットで見れます。
- 作者: 田島列島
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