ホスト経験から生まれるのは少女漫画ではなくホスト漫画(「ホスト漫」感想)
忙しさもひと段落して久々の更新。
今回はDeNAが配信するアプリ、マンガボックスの連載作から「ホスト漫」(木下聡志。2014年5月よりマンガボックスにて連載中。既刊1巻)
- 作者: 木下聡志
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/10/09
- メディア: Kindle版
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少女漫画家を目指すもいつまで経っても芽が出ず、気付けば30歳。そんな男、小林が「女心」を学んで少女漫画を描くために向かった先はホストクラブ。
即面接、即体験入店でいきなりホストの世界へ。ドン!
個性的な同僚たちとホストとして奮闘する、という感じの話。
作者自身も数か月実際にホストクラブで働いていたらしく、そのときの体験が随所に盛り込まれている。
自分はキャバクラも社会人なりたての頃にちょっと行ったことがあるだけで、もうずっと行ってないしなぁ、、イマイチああいうお店の楽しみ方がわからん。
当然、ホストクラブなんて行ったことないから「ほーん」という感じで勉強?になる。
それはさておき、この漫画の面白さは「バカさ」と「マジメさ」のバランスだと思う。
読み返してみるとバカなのはジャスティンだけな気もするが、こういうバカさ、大好きです。
源氏名の由来を語るジャスティン。
掃除大臣のジャスティン。
こんなバカさを見せつつ、細かくメモをとり、日々努力するというホストの厳しさも描いていく。
あと、やっぱり自分は「お仕事系」の話が好きなんだなと思った。前に感想書いてるのだと「みそらら」とか。今放送してるアニメの「SHIROBAKO」も最高に面白い。
最初はホストクラブを舞台にしたギャグ漫画かと思ったけど、なかなかマジメなところはマジメな感じで、仕事ってのは、一番になるってのはどの世界も楽なもんじゃないなと。
子供の頃はジャンプ漫画のようなわけわからん「修行」に憧れたけど、大人になるとこういう「リアルな努力」とか、お仕事あるある的な苦労話の方が面白いと感じる。大人の日常系。
新人の頃、頑張って仕事をやり遂げたときの達成感みたいな、初心を忘れずにいないとなーと。
さて、ちょっと作品から離れてマンガボックスについて。
ぶっちゃけ最初は所詮無料の寄せ集めでしょみたいに思ってて、ずっとダウンロードしてなかったけど、夏ぐらいになんとなく見てみたら面白い作品が揃っててビックリした。
編集長の樹林氏いわく、『「マンガボックス」は立ち読み装置』(津田大介の「メディアの現場」VOL.127より)
紙の雑誌も雑誌自体では利益はほとんど出なくて単行本で回収というから、印刷コストや返品リスクのないWebサービスであれば無料でもいけるんだろうな。まずは立ち読み的に目を通してもらって単行本を売っていく。「エアギア」とか「マルドゥックスクランブル」とか連載終了してる作品を載せてたりとかするけど、確かに単行本で読んでみたいと思うしね。
電子書籍が流行ってきて、これで昔の作品にスポットライトがあたればと思ったけど、ただ並べるだけではダメで、こうやって実際に中身を見てもらうことが大事なんだなと思った。あとはマンガボックス発のヒット作が出れば。
個人的には「毎日数作品ずつ更新」というのは上手いやり方だなと思う。毎日新作の漫画を読めるというのが、こんなにハマると思わなかった。
自分の場合、週刊誌だとだいたいお目当ての何作品か読んで後はほとんど読み飛ばす感じだけど、毎日ちょっとずつ更新されると普段は読まないようなのも読んでみようかなと思う。一週間あるいは一か月待たされるのと、毎日というのは全然違うと思った。
マンガボックスは他にも「酪農みるく!」とか「アクノヒガン」とか、面白いのが増えてるなぁという感じ。今後も期待。