イワシ式

個人的なマンガの感想を細々と書くブログ

ワカラナイカラ好キニナル、好キニナルカラワカラナイ(「夢使い」、「ディスコミュニケーション」感想)

『どんな女の子や男の子にもその謎を解かなきゃいけない男の子や女の子がひとりは必ずいると思うの
だから私が松笛君を好きになったってことは―
―私が松笛君の謎を解かなきゃいけない人間だということなのよ
私はなんとなくそう思うのよね』

先日、「夢使い」がkindle版で1巻のみ99円というセールをやっていたので、試しに買ってみたら止められずにそのまま6巻まで読破。しかも、キャラクターは前作の「ディスコミュニケーション」でも出てるというので、こちらも1巻を読んでみたら面白くてそのまま17巻分一気に読んでしまった。結局、最初の1巻以外は1冊500円ぐらいなので、計1万円分ぐらい使ってしまってしばらく倹約生活。

現在「謎の彼女X」を連載している植芝理一の昔の作品。「ディスコミュニケーション」(月刊アフタヌーン、1992年2月号~2000年11月号、本編13巻、学園編1巻、精霊編3巻)。「夢使い」(月刊アフタヌーン、2001年3月号~2004年2月号、全6巻)。

 

謎の彼女X」も最初に読んだときはなんつー変態漫画だと思ったけど、「夢使い」を読んで、あっ全然マイルドな表現になってんだなぁと思った。 とにかくエロいっつーか、オカルト的な描写を含めて、頭おかしいとしか思えない。でもその迫力にグイグイ引き込まれる。これからってところで終わっちゃってるのが残念。

で、冒頭はその前作「ディスコミュニケーション」第1話の最後のコマのセリフ。人間だかなんだかわからない高校生松笛と、その彼女である同級生の戸川を中心した摩訶不思議恋愛漫画。 自分も年をとるにつれてどんどん恋愛みたいなものから遠ざかってるけど、このセリフを読んだときはゾクっとした。「謎の彼女X」まで一貫してテーマは恋や性。そして、「人はどうして誰かを好きになるのか」。ぶっ飛んだ展開を通して、その気持ちの本質に迫っていく。

まぁ、1巻ではこんなにいいセリフ言ってるのに、これが12巻ぐらいまでくるとこんな感じに。

『キスをしたら―
お互いのスカートの中に潜りこんで
お互いのスカートの中に"世界の裂け目"を見ました
わたしたちは何度もキスしてそれをくり返しました』
(12巻、第65話「世界の裂け目)

でも、最終巻(精霊編3巻)の最後の戸川のセリフは感動した。こんなド変態の漫画なのに、読後感はすごくさわやか。

『ねえ松笛君!
松笛君に涙を飲ませて―って言われたら
どうして私が―
すぐに涙を出せるのか―知ってる?
それはね―』
(精霊編3巻、最終話「夢使い」)

最後まで通しで読むと感動もひとしお。連載開始したのが20年も前の漫画かって思うとすごい。

引っ越したときに「謎の彼女X」は処分しちゃったけど、これもkindle版で出てるからまた読んでみるかなと思った。5巻ぐらいで読むのやめちゃったし。表現自体は落ち着いているけど、本当の意味での変態度合い、マニアックさは高まっているのかもしれない。