イワシ式

個人的なマンガの感想を細々と書くブログ

マンガのチカラ(「ストーリー311」感想)

昨日「まじめな時間」について書いていたら、これも取り上げたくなったので、珍しく連日の更新。「ストーリー311」(ひうらさとる他10名、デジキスにて2012年3月より毎月連載、2013年3月11日に単行本として出版)。
タイトルの通り、東日本大震災について描いたマンガ。


第2弾のプロジェクトも始まっている。
http://www.story311.com/



特徴的なのは、ひうら氏が発起人となり、計11人の連載作家が作品を寄せているところ。それぞれ8ページと短いが、いずれも実力のある作家であり、読み応えがある。
また、このマンガによる印税・著作権料、利益は全額寄付される。

取材をしたのは2012年だそうで、震災からは1年近く経過しているが、震災時のできごとや、その後の歩み。新しく出てくる被災者の悩みなどが各作家の手によって描かれている。


個人的に印象深かったのは、岡本慶子氏による福島の一人の母親の話。外にいてはわからない中の人とのギャップ、さらに中の人同士でのギャップ。その悩み、思い。

被災地というのはずっと「揺れている」のだと思い知らされる。


震災後、Resilience(レジリエンス)という言葉をよく目にする。

「立ち直る力」とか「(元の形に戻る)復元力」という意味。
ポッキリと折れてしまうのではなく、しなやかな強さ。
事前に備えることや、あるべき姿を求めることも重要であるが、何かあった後でも、しなやかに、揺らぎながらも前向きに進んでいくことが大事なんだろう。

他にも、うめ氏が描く内田兄弟の話は、わずか8ページでもここまで描けるのかと、非常に力強く、勇気づけられるストーリー。



「マンガ」だからこそ、写真や活字だけでは伝えきれない、そこにある人々の思い、ストーリー、その変化というものを描けると思う。
何より、関心の薄くなってしまった人にも届けやすい。
この被災地への関心が薄れてきているというのも今の大きな問題。



さて、そんな「ストーリー311」のプロジェクトだが、第2弾のプロジェクトが進んでいる。
今回は、クラウドファンディングでお金を集めようとしているようである。
http://shootingstar.jp/projects/357#summary

2巻も豪華な執筆陣。

ひうらさとる 青木俊直 うめ おおや和美 岡本慶子 さちみりほ 新條まゆ ななじ眺 二ノ宮知子 葉月京 松田奈緒子



自分は、仕事の関係でたまに東北にいくこともあるが、仙台あたりは早いうちから震災があったことなんてわからないぐらいに感じた。

ただ、外見上は復興が進んで見えるようなところでも、問題がなくなっているわけでは決してない。
家を失った人、仕事を失った人、家族を失った人。
それらの傷が3年程度で元に戻るなどありえない。


インパクトの強い、物理的な被災の問題から、より内面への問題へと移行している。支援すべき内容も変化している。
それらを第2弾ではぜひ描いてほしい。


自分の好きな「マンガ」というツールが、何か世の中のことに役立つならばうれしい。



期限は12月20日まで。
目標と出している200万円は既に達成しているが、300万円で英語版、400万円で第3弾作成と、次の目標が設定されている。
ただ寄付するだけではなく、金額によっては参加作家によるイラストやSNS用アイコンなどももらえる。



もし、マンガが好きなら、、


500円でもいいので、このプロジェクトに実際に寄付するとか、
第2弾が出版されたら買うとか、
回りの人に教えてあげたり、twitterで拡散したり、


マンガのチカラを見せてやろうじゃないか。



「社会貢献」なんて重く考えず、自分の好きな作家が震災というテーマをどう描くのか、それを見てみたいというので十分。

前回の「まじめな時間」を読んで思ったけど、生きてるうちに「やってみようかな」と思うことがあれば、ためらわずにやってみるべき。
ほんのちょっとのことだし。

ぜひ!
http://shootingstar.jp/projects/357#summary


震災に備えて読んでおきたい一冊。非常にわかりやすいです。

4コマですぐわかる みんなの防災ハンドブック

4コマですぐわかる みんなの防災ハンドブック



ちなみに、これだけの作家が集まってるんなら200万ぐらい自分たちで出せよ、と思うかもしれないが、このクラウドファンディングという手法はお金を集めることと同時に、支援者を集めるという目的もある。
「期限内に目標金額の達成」という、ゲーム的な要素が入ることで、宣伝に力が入り、拡散の効果が高い。
街頭募金なんかも一緒。お金集めるだけじゃなくて、世の中にアピールする意味もある。
マンガで被災地を支援したいという人が目に見える形で集まるのはうれしい。